研究課題
筆者らがこれまで行ってきたAC 100V電力線線路のモデル化の発展研究として、各種電線が混在して構成されるネットワークにおけるPLC技術の適用性を検討した。特に今年度は、従来検討されていなかった、DC電力線を研究した。さらに検討をすすめることにより、各種電線が混在しても、同一のPLC通信方式にて実現するシームレスかつ合理的なネットワークを提案することを目的としている。なお、本研究では伝送路とPHY(物理層)までの検討としている。まずDC電力線を用いたPLCネットワークを構築し、線路特性をモデル化する準備をおこなった。筆者らは、トランスの中間タップを用いたコモン(ファントムとも呼ばれる)モードと、従来から行われているディファレンシャルモードを併用するデュアルモード伝送方式を提案しており、DC電力線への適用性を考察した。両者のうちスループット特性の良いモードを選択する選択型デュアルモード伝送方式の場合は、従来のシングルモード伝送方式に比べて最大で1.2倍スループット特性を改善できた。ただし、サーバ側のPLCモデムの伝送モードは固定であったため、PLC信号の不要輻射を回避するために送信電力を適応制御した場合は、スループット特性が20%劣化するという問題があった。そこで、サーバ側は両モードを合成受信するように変更した結果、電力制御をしない時で1.14倍、制御をする場合は1.01倍、従来のシングルモード伝送方式に比べてスループット特性が改善できるようになった。両モードを同時伝送する場合は、コモンモードとディファレンシャルモードが完全に直交すれば、通信容量は倍増できるものの、実際にはモード変換が発生するため、構築した線路では、最良の場合でも1.8倍程度であることを実験的に求めた。
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IEEE-ISPIC2010, Session 5A-2, Rio de Janeiro, Brazil,(30 March 2010) USB
ページ: 213-218
http://miyabi.ee.ehime-u.ac.jp/~tsuzuki/