21GHz帯衛星放送システムの実現に不可欠な、(1)高速大容量化技術、(2)降雨減衰による品質劣化対策技術のそれぞれについて実験装置整備及びシミュレーション検討を実施した。 (1) 高速大容量化技術:シミュレーションソフトウエアMatlabにより、大容量化を目指した変調方式16APSKの回線品質シミュレーションを実施した。回線容量を2倍にするため直交偏波共用回線とし、品質劣化要因として降雨減衰及び交差偏波識別度(XPD)劣化を想定した。上述のMatlabコードを作成し、今後衛星中継器の非線形性も考慮した回線品質推定シミュレーションを可能とする予定である。 (2) 品質劣化対策技術:NHK放送技術研究所との連携のもとで降雨域に衛星送信電力を優先的に分配する適応送信電力制御法による降雨減衰対策効果の定量的な検討を日本全国の雨データ、レーダアメダスデータを用いて実施した。また、20GHz帯降雨減衰時系列め短時間測定のために日本の実験衛星、高速インターネット衛星(WINDS)のTDMA信号受信を(独)情報通信研究機構と共同で実施し、2ms毎の降雨減衰時系列の抽出を可能とした。さらに、任意の周波数・方向の降雨減衰を測定するための10GHz放射計を整備し次年度以降の定常観測に備えた。
|