研究概要 |
1)降雨強度空間相関特性を考慮した降雨減衰推定法の提案と衛星回線の降雨減衰データとの比較による降雨減衰法の検証 平成21年度に整備した複数の衛星回線の受信システムを用いて前年度に引き続き降雨減衰特性の測定を継続しデータを蓄積し,約2年間にわたって蓄積されたデータを解析することにより複数の衛星回線の降雨減衰累積特性とその間の衛星軌道ダイバーシティ特性を求めた,その結果,2衛星間の軌道ダイバーシティ利得は,強降雨に対応する時間率0.01%以下については衛星間の方位角差に対してほぼ線形に増大するのに対して,0.05%以上の時間率に対しては衛星方位角差にダイバーシティ利得は顕著に依存しないことを明らかにした.このことは,強降雨は空間的に局在する傾向があるのに対して弱い降雨は空間的に広がった構造を持っていることに対応していると考えられる.さらに,軌道ダイバーシティの効果については降雨の空間相関特性のみならず,地球局周辺における雨域移動の方向特性にも大きく依存することを,気象庁1kmメッシュ全国合成レーダデータとの比較よりに有からにした. 2)本研究で得られた成果についてとりまとめと,学会誌等への論文投稿を行う. 本研究において提案した,衛星搭載降雨レーダと地上観測降雨強度データを組み合わせた降雨強度空間相関推定法およびこれを用いて日本全国52地点の空間相関特性を推定した結果,降雨強度空間相関特性に顕著な地域依存性があることを,第30回国際電波科学連合(XXXth URSI General Assemby, Istanbul, Turkey, Aug.13-20,2011)で発表した.またこの結果については電子情報通信学会論文誌に投稿準備中である.
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