研究課題/領域番号 |
21560409
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
生岩 量久 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (60382371)
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研究分担者 |
神尾 武司 広島市立大学, 情報科学研究科, 講師 (20316136)
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キーワード | 地上ディジタル放送 / ガードインターバル超え / SFN / OFDM / 歪み等化 / マルチパス / D/U / 受信機 |
研究概要 |
地上ディジタルテレビ放送においては周波数資源の有効利用のため、隣接する送信局間で同じ周波数を使用するSFN(Single Frequency Network:単一周波数ネットワーク)が採用されているが、このSFN環境下における大きな課題は、非常に長い遅延時間をもつマルチパス波が到来した場合、受信機での歪み等化が不可能となり、受信できなくなることである。特に最近はSFN局の増加に伴い、ガードインターバルを超えた波が到来するケースも増加傾向にあり、放送局および一般受信者にとって大きな問題となってきている。 本研究はこの課題を解決するために行ったもので、平成23年度は新たに考案した1ms程度の非常に長い遅延時間をもつ遅延波に対して歪み等化を可能とする本方式の性能について、さまざまな状況下を考慮したデータを取得するとともに、対策案を検討した。 SFN局間の周波数偏差など時間領域で生じる変動が信号劣化に与える影響については、問題はないことを確認したが、遅延波の遅延時間がサンプリング間隔の非整数倍時(通常はこの状態)に生じる遅延波レベルの誤差が等化精度に与える影響が課題となった。そこでこれについて検討を行い、対策法を確立した。また、これまでの取り組みの集大成として学会発表を行う(3件)とともに、査読付きジャーナル論文に2件投稿した(いずれも採択・出版された)。 以上のように、今後の装置化に向けてさまざまな角度からのデータを取得・解析し、本方式は充分実用的であることを示すことができた。また、装置仕様を確定させることができた。 当初予定していたハードウェア化にはたどり着けなかったが、ソフトウェア(プログラム)による受信は可能となったため、今後はこれを用いて工場での実験およびフィールド実験等を行い、ハードウェア化・実用化に向けた取り組みを進めていきたい。
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