研究課題
本研究の目的は画像・動画像変換符号化のための、方向性を考慮した冗長性の無い、新しい2次元方向適応形フィルタバンクを実現することである。2009年度は以下の2つの方式について検討した。1)可分形2次元フィルタバンクと方向を考慮した1次元ウェーブレット変換による方法ここでは画像をあらかじめ可分形の2次元フィルタバンクで方向成分に分割し、その方向に応じた1次元ウェーブレット変換を適用する。これによって、方向検出を必要とせず簡単な処理だけで2次元方向適応型フィルタバンクが構成できた。この方法は簡単であり、従来のウェーブレット変換に比べ、斜めのエッジを鮮明に表現できることを確認した。但し定量的には多少の改善は見られるものの、大幅な向上は見られなかった。2)8分割2次元方向適応形フィルタバンクContourlet[2]で示された理想的な分割形状を、非冗長なフィルタバンクで実現した。このために、所望の分割形状より細かな帯域に分割し、その後幾つかの帯域を合成するというボトムアップ型の構成法を検討する。これにより冗長になることなく、方向成分を正確に検出できた。本方法により非冗長なContourlet変換が実現でき、国際会議で大きな注目を浴びた。ただし変換の性能はフィルタの特性に依存し、良好な周波数特性を実現するには高次の2次元フィルタを用いなければならず、リンギング等の新たなアーチファクトが発生することが分かった。この方法は理論的には非常に興味深く、次年度以降更なる改善を目指して、より簡便な構成と実現方法を検討したい。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
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http://www.tkhm.elec.keio.ac.jp/index.php?Achievement