研究概要 |
本研究課題は、画像・動画像変換符号化のための、方向性を考慮した冗長性の無い、新しい2次元方向適応形フィルタバンクを実現した。本手法により従来のブロック変換符号化で表現されていた垂直、水平エッジのみならず、任意の曲線や斜線をひずみを生じることなく効果的に表現することができる。具体的には以下の3つの方式を提案した。 1.可分形2老元フィルタバンクと方向を考慮した1次元ウエーブレット変換による方法 ここでは画像をあらかじめ可分形の2次元フィルタバンクで方向成分に分割し、その方向に応じた1次元ウエーブレット変換を適用する。これによって、方向検出を必要とせず簡単な処理だけで2次元方向適応型フィルタバンクを構成した。 2.8分割2次元方向適応形フィルタバンク Contourletで示された理想的な分割形状を、非冗長なフィルタバンクで実現する。このために、所望の分割形状より細かな帯域に分割し、その後幾つかの帯域を合成するというボトムアップ型の構成法を検討する。これにより冗長になることなく、方向成分を正確に検出できた。 3.2次元リフティングウエーブレット変換とダウンサンプリング行列の変換による方向適応形フィルタバンク 1次元ウエーブレット変換を縦横に施す4分割フィルタバンクを直接2次元リフティング構造で実現する。これを0,22.5,45,67.5,90度方向に作用させるには、単にフィルタバンクのサンプリング行列を方向に応じて変化させれば良く、事前に画像の方向検出を必要とするものの高速な処理が可能となった。
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