研究概要 |
1)小型アンテナの電流を厳密に求めるために,Maxwellの方程式に境界条件を適用して,電流を未知数とした積分方程式の導出をおこなっている.この積分方程式の積分核は三つに分類される.第一の核は,直線状導体の場合に現れるものと同形式となっている.第二および第三の核は曲がりの導体に起因するものである.電流をエンタイヤドメインで定義し,点整合法により積分方程式を解けるように工夫している.さらに電流を基盤としてアンテナからの放射界を求める計算プログラムを開発している. 2)開発した計算プログラムを用い、小型角形スパイラルアンテナを解析している.このアンテナの入力インピーダンスを求め,周波数応答を明らかにしている.さらに,実用上の観点から,容量装荷によるインピーダンス整合を考察し,給電線に対する整合を可能にしている. 3)上記の理論構築と並行して、基礎実験を遂行している。その際,小型角形スパイラルアンテナを、バラン回路を用いずに同軸線で簡易に給電している.同軸線の直径が0.33mmと1.6mmである場合のアンテナ作製上の問題点を考察している.直径0.33mmの同軸線では、曲げ(90度に近い)が容易であるが断線しやすいことが見出される.一方、直径1.6mmの同軸線では、曲げが困難であるが堅牢なアンテナを製作できる.アンテナ特性の測定から,次の点が指摘できる:アンテナが小さく、かつアンテナ導体を直角に曲げる箇所が多いため、曲げによる定在波の発生に注意する必要がある.今後は,曲げを緩やかにするために、小型丸形スパイラルを検討していくことになる.
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