| 研究概要 |
本研究では,望まれる(所望の)構造・特性を有する,ネットワーク構造を持つ大規模(複雑)システムを生成するモデルの最適設計手法の開発を目指した研究を行っている。とくに,ネットワークの規模が動的に成長していく,成長機構を有するネットワークを最適設計する手法の開発を目的とした研究を行っている。本年度は,まず,昨年度に提案した「成長を伴う複雑ネットワーク設計手法」の有効性をさらに詳細に分析し,1件の学術論文発表を行った。この手法では,ノード数が増加する成長を伴うネットワークを考え,1ノード成長時リンク先決定問題を,設計者が望む特性を特徴量を用いて表現した評価関数の最適化問題として定式化し,これを逐次解きながらネットワーク成長させることで,所望のネットワークを得る。ネットワーク特徴量のうち,クラスタリング係数と平均経路長を最適にする場合のみについて,その有効性を数値実験を通して確認した。また,本年度は,成長を伴う複雑ネットワーク設計手法の汎用性の検証を行い,1件の学会発表を行った。具体的には,リッチクラブ係数媒介中心性ネットワークの連結性を用いてネットワークの特性を表現する場合について,その有効性を検証した。この成果は,平均経路長やクラスタリング係数といったネットワーク全体の値として計算される特徴量のみでなく,リッチクラブなどのネットワークの一部から計算される特徴量や,媒介中心性のように1ノードについて計算される特徴量を用いた場合,さらには,ネットワーク連結性のように特徴量として計算できないような特性についても,成長を伴う複雑ネットワーク設計手法を用いて,所望の特性を持つネットワークを設計できることを示している。
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