研究概要 |
本年度は,研究計画書に基づき,下記の二項目について研究を実施した 1. 差分進化法(DE)をベースとした多目的最適化アルゴリズムの改良と実装 既存のDEをベースとした多目的最適化アルゴリズムでは,三目的以上の最適化問題に対し,良好なパレート最適解集合を得ることが困難であった.そこで,従来の集団内における個体間の混雑度距離に代えて,指標関数に基づき次世代の集団を選択する多目的最適化アルゴリズムを考案し,そのプログラムを実装した.さらに,幾つのテスト問題における数値実験と統計的検定により,提案した多目的最適化アルゴリズムが既存のものに勝ることを確認した 2. 弾性表面波デバイスにおける構造と機能の対応関係の解析 弾性表面波(SAW)フィルタの電極構造設計問題を三目的の最適化問題に定式化し,多目的最適化アルゴリズムを適用することで,多様なパレート最適解の集合を求めた.つぎに,目的関数空間と設計パラメータ空間において,パレート最適解集合の主成分分析を行った.その結果,目的関数空間においては第一主成分と第二主成分の寄与率か高く,それら二つの主成分で目的関数空間が特徴付けられることを明らかにした.一方,設計パラメータ空間では第一主成分の寄与率が際立って高いことを明らかにした.さらに,目的関数空間の第一主成分と設計パラメータ空間の第一主成分には,明瞭な相関関係があることを発見した.今後,目的関数空間と設計パラメータ空間において,各主成分の要素をさらに詳しく解析することにより,SAWフィルタの構造と機能の対応関係について,より深い知見が得られるものと期待できる
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