平成23年度においては、装置の間接冷却ステージにマウントするためのSQUIDセンサデバイスの高出力化に関して、集中的に検討を行った。 具体的には、酸化物高温超伝導体を用いたSQUID磁束センサの高出力化とそのS/N比の向上を目的として、複数個のSQUIDを直列接続したFlip-Chip型直列SQUIDマグネトメータの設計・作製を試みた。SQUIDの直列アレイ化(4個接続)について検討した結果、多重接続化によりSQUID出力電圧は増大するが、その改善度は予想されるよりも小さいことがわかった。この原因としては、個々のSQUIDにそもそも避けられない特性のばらつきが存在することや個々のSQUID間の相互作用により、全SQUIDがコヒーレント動作できていないためと推測された。今後さらに個々のSQUID特性を揃えることで接続数に応じた高出力とする必要がある。 次に、直列SQUIDアレイと別な基板に作製した検出コイルとを貼り合わせ、Flip-Chip型直列SQUIDマグネトメータの作製を試みた。未だ磁気結合について不明な点があり、貼り合わせる前と比べてノイズレベルは必ずしも減少していないものの、単体のSQUIDと比べて大きく感度は変化し、一体としての磁束計動作が確認できた。
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