本研究の目的は、人間が携帯して利用可能な、環境の三次元形状計測システムを構築することである。走査型レーザ測距センサを高速に回転させながら、環境の三次元的な形状を計測する。このセンサシステムを人間が携帯し、周囲の環境に存在する形状の特徴を抽出して人間に伝達する。このシステム実現に必要な技術要素は、環境の三次元情報の取得と、三次元特徴情報の抽出である。本研究では、これらの問題について実際にシステムを構築して実験を行い、その実現可能性と有用性を明らかにすることを目的とした。とくに、環境の三次元情報の取得については、どの程度正確な形状を計測可能か、またどの程度の計測時間でデータを取得可能か、という点に主眼を置いて検討を行うこととした。また、三次元特徴情報の抽出については、多種多様な環境でどの程度の特徴を算出可能かという点を中心に検討することとした。 本年度は、三次元計測データからの形状特徴情報の抽出アルゴリズムの構築を行った。これまでに開発したシステムを用いて得られる環境の三次元データから、人間が移動する際に有用となる周囲環境の特徴的な形状情報を抽出するアルゴリズムを検討した。形状特徴としては、下り階段などと地面の境界、上り階段などの段差、地面に置かれた障害物などを取り上げた。そして、屋内の各種環境を対象としたシステムの評価実験を通して、構築したシステム全体の評価を行った。最後に、得られた研究成果をまとめて総合的な評価を行うとともに、報告書の作成を行った。
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