研究概要 |
センサネットワークにおける動的位置計測の高精度化と高度利用の検討に際し,研究最終年度となる本年度は,(1)端末間の正確な距離情報収集問題,(2)センシング情報と位置情報を融合させた高度利用問題に関する検討を実施した.具体的な研究成果は以下の通りである. (1)に関しては,位置推定のためのToF計測に際し,「バーニヤ効果に基づく高精度時間計測方式」につき,昨年度までで実験的な有効性確認を済ませたOWR(0ロeWayRanging)型による時間計測分解能向上の考え方を基本としつつ,現実のセンサネットワークへの適用を念頭においてRF端末間同期の必要性を排除したTWR(TwoWayRanging)型の飛行時間計測方式の実現方法に関する検討を進めた.今年度の検討範囲では,2つの実現方式を提案すると共に,その実現可能性について計算機シミュレーションによって評価した.具体的には,典型的なTWR型ToF計測方式における時間計測へバーニヤ効果に基づく高精度時間計測方式を融合した方法と,シングアラウンド型ToF計測方式に異周期動作クロックを利用することでバーニヤ効果を生成きせた方法とを提案し,いずれの方法に基づいても,端末間同期を排しながらOWR型と同等の時間計測分解能を実現できることを明らかにした. 続いて(2)に関しては,新たなRF波形解析装置を設計・製作した.本装置はセンシング情報獲得のための各種センサを搭載可能であるほか,これまでプロトタイプ型鯉実験装置を利用してToF計測分解能向上効果を実証してきた高精度ToF計測方式につき,OWR型(RFミラー装置)としてだけでなく,選択的に,RF端末間のクロック同期が不要なTWR型のToF計測系としても動作させることが可能である.すなわち今後の研究進展に際した様々な実験条件への柔軟な対応が可能な多機能性を有したプラットフォーム構成としてあることが特徴であり,動作確認としてOWR型の時間計測を試みたところ所望の動作をすることが確認でき,将来のセンシング情報と位置情報を融合させた高度利用に関する実験へ運用可能であることを示した.
|