研究概要 |
平成21年度においては,完全並進不変複素離散ウェーブレット変換(PIT-CDWT)のウェーブレットパケットへの拡張(完全並進不変性を実現する置換型不変複素ウェーブレット変換の開発),およびシステム解析への応用を行った. まず,章らの提案した完全並進不変複素離散ウェーブレット変換(PTI-CDWT)をそのままウェーブレットパケットへ拡張した場合,並進不変性が満足されないことを明らかにした.次いで,完全並進不変性を実現する置換型複素ウェーブレットパケット変換アルゴリズムを考案した.ウェーブレットパケットの構成可能条件は,分割技法と呼ばれる補題によるものである.この分割技法において注目すべきは,ウェーブレット関数に関係ない任意のツースケール数列p(k),q(k)を用いても成立するという点である.これより,従来のツースケール数列を用いても,ウェーブレットパケットと同様な変換が行えることがわかった.ここでは,従来とは違う新しいツースケール数列に置き換えて並進不変性を保存することを考えた.この複素ウェーブレットパケットを置換型複素ウェーブレットパケットと呼ぶことにする.これの具体的応用として,音声分離の劣決定問題や電磁波の雑音分離問題を検討した. 特に後者については,ウェーブレット変換による地中レーダ受信信号の強調問題に対して日本信号株式会社との共同研究を開始した.これについては特許申請を行う予定で準備中である.
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