研究概要 |
ウェーブレットパケット変換は離散ウェーブレット変換の一般化であって,離散ウェーブレット変換に対して多重解像度解析(MRA)と似たやり方で実行される.その違いは,ウェーブレットパケット信号分解では各レベルにおいて近似係数と詳細係数両方ともに分解されるということである.MRAでは,分解されるにつれて配置されるウェーブレット係数の数はダウンサンプリングにより減少するが,全体としての情報量は元の信号と同じになるように設計されている.このことにより並進不変性が欠如してしまう.例えば,異常信号の検出問題に対して並進不変性をもたないまま信号解析すると,その信号の発生時刻,あるいは発生位置を安定して検出することはできなくなる. 最終年度では,昨年度までの開発の成果である,置換型複素ウェーブレットパケット変換および位相補正型複素ウェーブレットパケット変換についての工学応用について検討した.具体的には,章らの手法を比較対象として,提案するウェーブレットパケット変換手法を(1)クロータドリルにおける切削音に基づく異常検知・診断,(2)地中レーダによる地下埋蔵物(金属管)の標定に応用し,その有用性を確認した.
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