21年度に構成した本干渉計について、以下のように(1)(2)のアフォーカル結像系に関する特性を調べた。(1)焦点距離50mmと100mmのレンズによる像倍率2倍のアフォーカル結像系の中に置かれた幅200μmのスリットによる空間フィルタで、円筒内面のある1つの円周方向で奥行き方向に沿ったx方向の直線上において内面形状を測定している。この場合、CCD検出面における光場は、上記の直線に垂直なy方向にシンク関数に従って広がっている。よって、CCDのy方向のどの位置でもx方向に沿った光場の位相分布は同じである。これについてy方向の3つの位置で確かめた結果、ほとんど等しい位相分布すなわち内面形状が得られた。(2)アフォーカル結像系においてCCD検出面に対する物体面は、円筒内面の奥行き方向に沿ったx方向ではなく、x方向と角度β=0.96radをなす。そこで、CCDの位置を光軸に平行に0.5mm間隔で移動させて、物体面の位置、すなわち物体面と円筒内面のx方向との交点の位置を変化させ、CCD検出面における光場の位相分布の変化の様子を調べた。その結果、位相分の変化はほとんどないことが確認された。以上の結果から、CCDの検出位置に対する位置精度は厳しくないことが分かり、内面形状測定が正確に行えることが明らかになった。そこで次に、円筒物体を回転させることによって円周方向に沿っての内面形状の変化を測定した。円筒物体はハードディスク装置のモータ軸受に用いられる流体動圧軸受であり、内径3mm程度の円筒内面に円周方向に沿ってV字型をした深さ5~6μmの溝が加工されている。5つの円周方向の位置で測定した形状分布結果から、溝深さ方向の測定精度0.29μmでV字型の形状を測定できた。
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