本研究は、軽量でフレキシビリティーが高く、電磁障害に強い、軽量で化学的機能性を付与しやすいという特長を有するプラスチック光ファイバ(POF)に注目し、味物質の光学的な検出を目指している。本年度は、センシングクラッド層となりうる機能性膜として、電位感受性色素を含んだヘテロ型の単分子累積膜(LB膜)を作成し、その味物質に対する蛍光強度特性を測定した。これは、色素分子の配向方向を一方向にすることにより、感度の向上を目指すためである。 ヘテロLB膜の作成は、ヘキサデシル基を付加したローダミンB色素とアラキン酸の混合単分子膜と、アラキン酸単独の単分子膜とを交互に累積することによって行った。このヘテロLB膜をガラス基板上に5層~9層累積し、POFによって蛍光を採光し光電子増倍管で測定を行ったところ、苦味物質である、キニーネに対して、その蛍光強度に変化が見られた。これまで用いてきたホモ型のローダミンB色素とアラキン酸の混合LB膜と比べると、やや感度が高くなることが確認された。現在の作成装置だとヘテロ構造のLB膜の製膜性が良くないため、今後は製膜装置を改良することにより、さらに感度の向上が期待される。 また、ヘテロLB膜を用いたPOF型味覚センサへの開発に先立ち、POF型のガスセンサを試みた。メタンガス、プロパンガスに対して爆発限界濃度以下での検出が可能なセンサが作成でき、POFセンサの有用性を示すことができ、味覚センサへの応用が期待できる。
|