研究課題
前年度が得られた虚像を減少させるための受波器アレーの配置方法についての研究成果を電子情報通信学会論文誌に発表した。今年度では、主に地中音速と地表面音速の関係について実験的に検討を行っている。弾性波を用いた地中埋設物の探査方法では、探査点に該当する各受信出力の抽出には、地中音速が重要なパラメータとなっている。今まで、主として映像化方法について研究を行い、実験ではモデル砂槽を用いたが、映像化には予めモデル砂槽中に埋設された受波器より実測した地中音速を用いた。しかし土砂中の音波伝搬が非常に複雑で、音速のバラつきも大きいため、現場実測において、地面を掘り下げて受波器を埋め込むことで測定場所での地中音速を得ることが応用効率の低下につながると考えられる。また、特定な土砂サンプルに関する音速の研究報告があるが、一般的な地中音速に関する研究結果がほとんど見当たらない。そこで、実用の便利性を図り、地面を掘り下げなく、地表面で測定した音速より地中音速を推測する可能性に着目し、モデル砂槽を用いて地表音速と地中音速の関係について実験的に検討することとした。なお、この研究内容は、映像化技術の実用化に必要であるが、本研究課程当初の計画に予定されていない。実験では、電磁誘導型音源と地中の受波器より地中音速、音源と地表面の受波器より地表音速、参考のために横波発生アダプタ付き音源と地中の受波器より地中横波音速をそれぞれ測定した。複数回のパルス受信データよりピーク値の時間対音源・受波器間隔の分散データの回帰直線の傾きよりそれぞれの音速を求めた。結果、地中異なる深度での受波器の測定結果がほぼ同様で、縦波速度は約186m/s、横波速度は約156m/s、地表面音速は約161m/sであることが得られ、地表音速は地中縦波速度の85%程度であることが判った。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
電子情報通信学会論文誌
巻: Vol.J94-A, No.11 ページ: 870-877