研究概要 |
本研究では化学農薬に替わる害虫防除方法を模索しており、超高輝度黄色LEDの諸特性を積極的に利用した物理的な新しいタイプの害虫防除光源装置の開発を行っている。開発にあたり、近年、特に農作物に被害を多くもたらす特定害虫種(チャバネアオカメムシ,オオタバコガ,ハスモンヨトウ)の光に対するERG(網膜電位)信号を計測し、そのデータと行動観察とを関連付けることにより、より効果的な防除方法の確立を急務としている。初年度では、S/N比向上を目指したERG信号計測の実験系の再構築とLED光源制御装置の再設計を行う。 (1)実験系の再構築現在までに構築してきたERG信号計測システムに関して、本年度では自作の生体電位アンプ(計測用アンプ)の再設計及び試作を行う。高性能なリニアICやフィルタICなどの調査後、新型ICを採用をして基本設計・試作を行った。 (2)慣れ防止および低消費電力化を目指したLED光源制御装置の再設計ゆらぎ光やパルス光のLED光源パネルの試作運用は予備的に実施済みであるが、その光源パネルに対する防除効果は判然としなかった。本年度は、より多くの害虫種および個体サンプル数を対象として、得られた各種のERG信号の諸特性をLED光源パネルの制御装置に反映させる。この制御技術は申請者の電子回路設計・製作技術を活かして基本設計を実施した。また、次年度実施予定の農地での加害調査用のLED光源装置試作および設置に向けて、全体システムの再度基本設計を実施した。これまで多くのLED光源パネルを試作した廃物品があるので、それを積極的に再利用した。
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