研究概要 |
本研究の目的は,移動ロボット間の情報結合構造が時間的に変化する場合について,ターゲット(対象物)の追跡,包含,把持を達成できる制御方策を理論的に明らかにし,更にはその提案制御方策の有効性を実験的に検証することにある.この目的を達成するため平成21年度は以下の3項目に関して研究を行った. (1)複数小型移動ロボット制御系の構成と数理モデルの導出 複数台の小型移動ロボットを用いてマルチビークルシステムを構成した.また通信装置,リアルタイム制御システムを統合・発展させることによって,「高速・高精度実時間ディジタル制御環境」を構築した.更に作成したエージェントの運動学,動力学モデルを計算し,またセンサの特性を計測した.そのモデルとセンサ特性,アクチュエータ特性を基に同定実験を行い,小型移動ロボットのモデルパラメータを同定した. (2)時間的に変化する情報結合構造に対応した取り囲み制御則の導出 時間的に変化する情報結合構造に対応した協調取り囲み制御則と,更にはエージェントの絶対位置ではなく,相対距離に基づく動的協調取り囲み制御則を提案した.これにより物理的にエージェント間のネットワークが動的に変化しても取り囲みを達成することを可能とした.また制御則を用いた場合の閉ループ系の漸近安定性を制御理論的に証明した. (3)統合的な制御環境の構築と制御実験による検証 (1)で構成した「高速・高精度実時間ディジタル制御環境」を用いて制御実験を行った.これにより(2)で提案した制御則と導出した定理の有効性が検証された.
|