研究概要 |
本研究の目的は,移動ロボット間の情報結合構造が時間的に変化する場合について,ターゲット(対象物)の追跡,包含,把持を達成できる制御方策を理論的に明らかにし,更にはその提案制御方策の有効性を実験的に検証することにある.この目的を達成するため平成22年度は以下の3項目に関して研究を行った. (1)固定した情報結合構造に対するターゲット把持の達成 マルチエージェントシステム全体の動作計画を行う際に,特に情報結合構造が固定されている場合に関して,「対象物の取り囲み」と「運搬・把持」の2つのモードに分けた分散制御方策を提案した. 具体的には,「取り囲み」モードでは,これまでに申請者が提案してきた制御則を発展させ,新たな制御則として自由なフォーメーション形態を取れるような制御則へと拡張した.また提案制御方策を用いた閉ループ系の漸近安定性を理論的に証明した. つぎに「運搬・把持」モードでは,仮想の把持対象物の入力を,適当なポテンシャル関数の勾配として設計することで達成した.更には,2つのモード「取り囲み」と「運搬・把持」のモード切り替えのための適切な切り替えアルゴリズムを提案し,スムーズに切り替えが可能であることを示した. (2)シミュレーションによる提案法の有効性検証 ここでは(1)で提案した「対象物の取り囲み」と「運搬・把持」の2つのモードでの制御則と導出した定理の検証を主目的として,シミュレーションによって有効性を検証した.またアニメーションを用いたシミュレーション評価の可視化を行った. (3)制御実験環境の整備 今年度新たな無線通信機器と移動ロボットを整備し,制御実験の環境を整えた.今後ハードウェア/リアルタイム制御環境を再構築し,次年度は制御実験による検証を実施する.
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