研究概要 |
本年度は,非線形最適制御問題の統一理論の構築(継続)と非可微分な非線形最適制御問題の数値解法の確立をそれぞれ目的とした.実績は以下のとおりである. 1.統一理論の構築:ディスクリプタ形式の表現能力とその最適制御計算との相性について検討した.ハイブリッド形式を包含できる可能性はあるものの統一理論には至らなかった.これに対し,時間軸を部分区間に分割してそれらをスライドする方法を工夫し,新たな観点からの統一理論を試みた.仮想時間による正準形式の枠組みには至らなかったものの,ある種の統一理論の構築に成功した. 2.数値解法の確立:ラパーを用いて数値解法を試みる場合,微分不可能な関数を微分可能な関数で近似する方法をとる.ラパーを使わない実用的な接近法を求めてこの近似手法を非ホロノミック系が持つ粘性解に適用し,非可微分な粘性解がある種の可微分な近似関数により計算可能であることを検証した.この結果,近似関数により非可微分な最適制御問題の数値解法の実現可能性を明らかにした.ただし,対象とする問題の難易度に大きく依存する結果となっており,非可微分な数値計算に関しては今後に課題を残す形となった.それに対し,可微分な場合の最適制御問題に関しては,ある種の統一理論の構築に成功しており,さらにその必要条件として最大原理を理論的に導出した.したがって,統一理論に対する数値解法においては,収束証明がなされた従来の計算手法がそのままの形で適用可能となり,可微分な形式ではあるが,統一理論に対する数値解法が構成可能となる.不確定初期状態や不確定パラメータを含む最適制御問題,およびハイブリソド最適制御問題をいくつか取り上げ,現実的な観点から数値実験を行いその実用性を確認した.
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