研究概要 |
システム同定理論と状態推定理論の研究を中心に行った。具体的には以下の理論検討を行った。 (1)ソフト不感損失関数を用いたサポートベクター回帰による非線形システムの同定:パラメータ推定における評価関数を最適に決定するアルゴリズムについて検討した。 (2)放射状基底関数を用いたJIT(Just-In-Time)モデリング:従来は直交座標系に基づくデータベースの量子化が提案されていたが,新たに極座標系に基づく放射状基底関数を用いた方法を提案した。 (3)MCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ)法によるベイズ推定 (4)多変数システム同定における同定入力信号の選定法:多変数システム同定を行う場合,多数の入力信号列を生成しなければならないが,M系列信号を用いた新しい入力信号の生成法を提案し,その妥当性を数学的に証明した。 また,システム同定理論の産業応用研究として,いくつかの企業などとの共同研究を通してシステム同定の応用検討を行った。具体的には,自動車メーカと共同でエンジン制御系の非線形システム同定問題に(1)と(2)の手法の適用検討を行った。また,医用機器メーカとドプラ型超音波診断装置のための画像データの解析法に(3)の手法を適用し,音響システム系における頭部伝達関数の同定問題に(4)の方法の適用検討を行った。さらに,宇宙関連メーカとロケットの航法システムへのカルマンフィルタの適用,精密機器メーカと複写機のトナー補給制御系のためのモデリング法について検討した。
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