研究概要 |
システム同定と状態推定の理論と応用の両面にわたる研究を行った。具体的にはつぎに示すような検討を行った。 1.機械学習理論を用いた二つの新しいシステム同定法を開発した。すなわち,カーネル正準相関分析に基づくサポートベクター回帰による非線形システム同定法,とモンテカルロ変分ベイズ法を用いたハイパーパラメータの推定法を新たに提案した。そして,自動車メーカと共同で,エンジン制御系の非線形システム同定問題へのこれらの新しい非線形システム同定法の適用し,実車を模擬した数値シミュレーションによりそれらの有効性を確認した。 2.多変数システム同定における同定入力信号の選定に関する検討を行った。そして,音響システムにおける立体音響構成のための頭部伝達関数の多方向同時推定問題にこの方法を適用し,その有効性をNHK技研の防音室で実施した実験により確認した。 3.ロケット用低コスト航法装置のためのMEMSセンサ誤差モデルのパラメータ推定を行った。また,宇宙関連メーカと共同で,ロケットの航法システムへの非線形カルマンフィルタの適用も行った。 4.局所線形PLSモデルを用いた非線形モデル予測制御系の設計法を提案した。そして,精密機器メーカと共同で,複写機のトナー補給制御系へこの方法を適用し,数値シミュレーション実験を通してその有効性を確認した。 5.力覚センサを用いた4ロータヘリコプタQBallのシステム同定実験を計画,実行した。不安定系であるヘリコプタを飛行させることなく,開ループ同定する新しいヘリコプタのためのシステム同定実験法を提案した。
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