従来のヒステリシスのPrandtl-IshlinskiiモデルやPreisachモデルなどを参考し、圧電アクチュエータや超磁歪アクチュエータなどの入出力関係のヒステリシス現象及びその遷移をより精確に表現できるような数学モデルを提案した。そして、圧電/超磁歪アクチュエータの実験により、提案したモデルの合理性及び実用性を確認した。それから、ヒステリシスを入力側に含む線形システムに対して、そのロバスト高度化制御手法を考察した。ここで、提案したヒステリシスのモデルを用いて、線形システムとヒステリシスのダイナミックスを併せて一つの複雑なシステムとして取り扱うことにした。適応アルゴリズムを据案し、複雑なシステムのパラメータ及びヒステリシスの密度関数をオンライン的に推定したうえ、システムの出力誤差が設計パラメータによって制御できるような適応制御則を合成した。それから、計算機シミュレーションを行い、提案した制御法の有効性を検証し、パラメータの選択基準などを明らかにした。最後に、圧電アクチュエータで駆動される単軸ナノサーボステージを製作した。このステージはヒステリシスを入力側に含む動的システムと見なすことができるため、提案した手法をその高精度位置制御に応用した。外部条件を変えながら、実験によって、提案手法の有効性・ロバスト性・実用性を確認した。
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