研究概要 |
21世紀に再生可能な新エネルギー利用として風力発電が注目を浴び,これは原発安全性と地球温暖化防止の意識を高める影響が大きいと言われている。欧米では,5MWクラスの大型浮体タイプ洋上誘導型風力発電機の研究を実施しているが,大型風力発電機はほとんど誘導型であり,風力発電機の制御系に関する研究はもちろん誘導型の発電機を中心として進んでいる。その制御手法は線形時不変の状態空間モデルに基づいた従来の制御法の適用に過ぎない。しかしながら,誘導型風力発電機は出力が大きくて何千KWに達すが,発電効率が低い。 これらに対して本研究申請者は,現在の風力発電機とまったく異なる誘導型より更に出力が大きくて効率が高く,尚且つ諸コストが一番安くて新しいリラクタンス型風力発電機を提案し,有限要素法を用いてその発電機の研究開発を行なったが,この新しい発電機の回転子は非線形の磁気特性を有する珪素鋼板を積層して作られており,インダクタンスを一定値として取り扱うことは難しい構造となっている。 本研究では,高効率発電のための新しい制御系としてリラクタンス型風力発電機の非線形時変ベクトル制御系を初めて構築し,その非線形時変ベクトル制御系を用いてリラクタンス型風力発電機の高効率発電を実機で実行することを目的とする。 まず,風速の変化に依存するリラクタンス型発電機の特性を実験的に計測し,測定データに基づいてリラクタンス型風力発電機の解析モデルを確立する。つぎに,リラクタンス型風力発電機の解析モデルに対してパラメータ変動の観点から非線形時変ベクトル制御系を新たに構築し,その時変系として閉ループシステムの安定性を検証する。そして,風力発電の高効率化の観点からその発電機と制御系に対して総合的に計測・解析・検討を行なう。最後に,本研究で構築される非線形時変ベクトル制御系を用いてリラクタンス型風力発電機の高効率発電を実機で実行する。
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