アスファルト舗装の耐久性向上の重要な要素であるアスファルトの破壊抵抗を直接評価する試験法として荷重測定型伸度試験に着目した。本試験におけるアスファルトの引張エネルギーと舗装の耐久性との関係を明らかにし、改質アスファルトの性能評価試験として規格化することを目的とする。 使用したアスファルトは、ストレートアスファルト、改質アスファルト、およびゴム粉を混入したアスファルトである。 1.我が国では荷重測定型伸度試験、米国ではthe force ductility testと呼ばれている試験であり、1976年に開発されたものでありながら正当に評価されていない。本研究で再現性のよいことを証明し、、試料内部に発生する応力を計算できること、時間温度換算則の成立することを示して、広い試験条件下で測定可能なことを示した。そしてこれを瀝青材料に対する「準引張試験」と呼ぶことを提案した。 2.各種アスファルトに対する準引張試験の応力-ひずみ曲線から、最大応力、弾性係数、引張エネルギーを効率よく求めることができた。耐久性がよいとされているアスファルトほど最大応力、引張エネルギーは大きかった。 2.同じアスファルトを用いて舗装用混合物を作製し、間接引張試験を行い、混合物の引張破壊に要するエネルギーを求めた。試験温度は-10℃から+40℃まで変化させた。 3.同様に作製した舗装用混合物を、120℃の恒温槽内で数日養生し、アスファルトを劣化させた。 4.熱劣化させた供試体に対し間接引張試験を実施し、引張破壊エネルギーを求めた。引張破壊エネルギーは劣化と共に減少した。 5.劣化させた供試体からアスファルトを抽出し、準引張試験を行い、引張エネルギーを求めた。バインダーの引張エネルギーも劣化と共に減少するが、バインダーに対する引張試験のエネルギーと混合物に対する間接引張試験のエネルギーの間には広い範囲で相関が得られた。 以上のことから、準引張試験から得られるバインダーの引張エネルギーは改質アスファルトの重要な指標となり得ることを確認した。非常に簡便な試験法であり、再現性、精度も他の試験法よりも優れている。
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