研究概要 |
有機繊維を用いた超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を開発することを目的として昨年度に続き,繊維として収束タイプのアラミド繊維を取り上げ,その諸特性について検討した。 (1) 曲げ強度の寸法効果 はり供試体の断面寸法を40×40mmから150×150mmに変化させて切欠きはりの曲げ試験を行った。その結果,明確な曲げ強度の寸法効果が存在することが明らかとなり,特に40×40mm供試体の強度は100×10mm供試体の2倍程度となった。また,引張軟化曲線にも明確な寸法効果が見られ,寸法が大きくなると応力が小さくなった。 (2) 繊維長の最適化 繊維長を15, 20,および25mmの3種類に変化させて,最適な繊維長について検討した。その結果,フレッシュ時のフローは繊維長が長くなるにつれて小さくなるが,圧縮強度は繊維長にかかわらずほぼ一定で170N/mm2であった。引張軟化特性は,20mmと25mmでは差はなく,15mmは劣る結果となった。このことから,本研究では繊維長20mmが最適であると判断された。 (3) 自己収縮特性 繊維長20mmのアラミド繊維を用いたUFCの自己収縮を計測した。その結果,常温下の前養生において500μ,その後の高温養生時に800μ程度,合計,1300μ程度の収縮が生じた。 (4) UFCを用いたRCはりのせん断強度 アラミド繊維UFCを用いた鉄筋コンクリートはりのせん断試験を行った。その結果,はりnのせん断耐力は,土木学会指針案式によって安全側に評価でき,また鋼繊維を想定した計算値の90%程度であった。
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