研究概要 |
昨年度までアラミド繊維を用いた超高強度繊維補強コンクリートについて検討し,実用化が可能であることを示した。しかしながら,アラミド繊維は高性能ではあるが広く普及させるうえでは,コストの問題があると考えられた。そこで,本年度はアラミド繊維に代わる繊維としてより廉価なポリビニル(PVA)繊維を対象として,超高強度繊維補強コンクリートを製造するために適した繊維の形状寸法,混入率について検討した。現在市販されている寸法,強度が異なる6種類のPVA繊維を対象として,練混ぜ試験,フロー試験,圧縮および曲げ試験を行い,以下のことが明らかになった。 ・径が細い繊維(φ=0.04mm)では混入率を高くすると流動性が低下するため,混入率を高くすることができず,その結果,高強度を得ることが困難である。 ・径が太い繊維(φ=0.66mm)では水セメント比を18%として混入率を3%まで高くすることで高強度を得ることが可能であるが,フレッシュ時に繊維とモルタルの分離が生じる ・φ0.66×30mmとφ0.1×12mmの繊維を1:2の割合で混合して用いると材料分離を抑制でき,140N/mm^2の圧縮強度と15N/mm^2以上の曲げ強度が得られた。 ・上記の混合繊維を用いた超高強度コンクリートについてコンクリート製品工場の実機ミキサで練混ぜ試験を行い,製造が可能であることを確認した。
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