コンクリートの収縮ひずみは、最近は骨材事情の変化から従来の値に比べて、著しく大きな値を示すことが多くみられる。しかし、平成20年3月に発刊された土木学会コンクリート標準示方書施工編では、現在使用実績があるレディーミクストコンクリートは、収縮ひずみが1200μ以下であると記述されているだけである。これは、既存の乾燥収縮ひずみ試験方法では、材齢7日から材齢6カ月までの乾燥収縮ひずみのみを測定しているため、打込み直後から材齢7日までと6カ月を超える材齢での収縮ひずみが不明であることによる。そこで本研究では、打込み直後からの収縮ひずみを求める試験方法を確立することを目的とした。 打込み直後からの自己収縮ひずみを測定する試験方法と乾燥収縮試験方法を組み合わせて、材齢7日まで封緘養生して自己収縮ひずみを測定後、室内養生により乾燥収縮ひずみを測定する試験方法を提案した。実験のパラメータは粗骨材種のみで、多孔質で自己収縮ひずみの大きい高炉スラグ、乾燥収縮ひずみの大きな砂岩と乾燥収縮ひずみの小さな石灰岩を選定し、同一配合のコンクリートを3本ずつ作製した。提案した試験方法と既存の乾燥収縮試験方法(材齢7日までは水中養生)で収縮ひずみを測定した結果、材齢7日以降の乾燥収縮ひずみはいずれの試験方法でも同程度の値となり、提案した試験方法で材齢7日以前の自己収縮ひずみと材齢7日以降の乾燥収縮ひずみを同一試験体で測定できることが明らかになった。 しかし、今回の実験は骨材の種類も3種類だけで、配合も1種類だけである。今後は様々な種類の粗骨材を用いて異なる配合でコンクリートの収縮ひずみを測定し、提案した試験方法の妥当性を確認する必要がある。
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