コンクリートの収縮ひずみは、最近は骨材事情の変化から従来の値に比べて、著しく大きな値を示すことが多くみられる。しかし、収縮ひずみを求める試験方法が確立していないため、一昨年度は打込み直後からの自己収縮ひずみを測定する試験方法と乾燥収縮試験方法を組み合わせて、材齢7日まで封緘養生して自己収縮ひずみを測定後、室内養生により乾燥収縮ひずみを測定する試験方法を提案した。昨年度は、高炉スラグ、砂岩砕石、石灰岩砕石および人工軽量骨材を用いたコンクリート供試験体を材齢7日まで封緘養生して自己収縮ひずみを測定後、室内養生により乾燥収縮ひずみを材齢180日まで測定した。さらに、これらの骨材の吸水量と水銀圧入法による空隙測定も行い、骨材の種類によって収縮ひずみが異なる原因を調べた。その結果、骨材の空隙内に貯留された水分が特に自己収縮ひずみに大きく影響することが明らかとなった。 これまでは単位水量の少ないコンクリート(W=150kg/m^3)を対象としてきたが、骨材の空隙内に貯留された水分が自己収縮ひずみに大きく影響するととを考慮して、今年度は単位水量の大きなコンクリート(W=175kg/m^3)を対象とした。さらに、セメントの種類も変化させ、高炉セメントB種、早強セメント、低熱セメントを用いた。使用した骨材は人工軽量骨材、砂岩砕石、石灰岩砕石である。試験方法は、一昨年度と同様に、自己収縮ひずみを対象とした試験方法と、乾燥収縮ひずみを対象とした試験方法、および材齢7日まで封緘養生して自己収縮ひずみを測定後、室内養生により乾燥収縮ひずみを測定する提案している新たな試験方法である。実験結果より、単位水量の大小、セメントの種類にかかわらず、提案している試験方法で、材齢7日以前の自己収縮ひずみと材齢7日以降の乾燥収縮ひずみを同一試験体で測定できることが明らかとなった。
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