研究概要 |
コンクリートの超音波速度は,細骨材量や粗骨材量などコンクリート中の材料の構成の影響を強く受け,セメントマトリックス強度が小さい強度発現途上の若材齢コンクリートでは,その傾向が著しい.したがって,超音波計測の結果を汎用的なものとするためには,骨材量の影響を適切に評価しなければならない.本研究では,骨材の超音波速度がその容積率に応じてコンクリートの超音波速度に寄与するとしたモデルを考え,今年度は特に粗骨材量がコンクリートの超音波速度に及ぼす影響の定量化を試みた. 平成21年度の研究では,(1)W/C=45%,細骨材容積率Sc=40%のモルタルについて,アーレニウスの反応速度則に基づいた超音波速度上昇特性の温度依存性を定量化,(2)骨材容積率に基づいたコンクリートの超音波速度計算モデルを提案し,粗骨材量が超音波速度に及ぼす影響とモデルの精度の検討,(3)疑似若材齢コンクリートを用いた超音波速度と動弾性係数の関係に粗骨材量が及ぼす影響の検討を行った. これらの結果,骨材量の影響を考慮したコンクリートの超音波速度計算モデルの妥当性を示すとともに,有効材齢0.5日未満の領域では精度の検討が必要であることを明らかにした.また,コンクリートの超音波速度と動弾性係数の関係には,骨材容積率があまり影響を及ぼさないことも明らかにした.
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