本研究の目的は,過酷荷重環境下でのHPFRCCの材料特性を明らかにし,また,HPFRCC単体及び複合構造物における過酷荷重環境下における負荷状態を明らかにすることで,構造耐久性について検討することにある.本研究での過酷荷重環境とは,温度もしくは交通荷重による交番疲労載荷と水の影響がある環境とする. 本研究においては,研究期間内に,以下の点を達成することを目標とする. ・HPFRCCの交番載荷下での疲労特性の実験的把握と解析手法構築. ・水が存在する状況でのHPFRCCの疲労特性の実験的把握と解析手法構築. ・HPFRCC構造物における温度荷重,交通荷重,水の存在による負荷状態での発生応力の解析的把握. ・上記の知見に基づいたHPFRCC構造物の耐久性の検討. 平成23年度においては下記の成果を得た. HPFRCCの材料特性については,曲げ疲労特性を対象として繊維架橋応力の劣化を考慮した解析モデルを作成し,既往の実験結果との比較により良好な一致を得た.また,繰返し載荷の最小応力比について負曲げも含む載荷条件でパラメトリック解析を実施した.この結果の回帰式を普通コンクリートの既往の式と比較し,HPFRCCの特徴的な挙動を明らかにした. HPFRCC構造物の耐久性の検討としては,昨年度に引き続き,疲労亀裂対策としてHPFRCCにより上面増厚した鋼床版の疲労耐久性について解析的検討を行った.今年度は,より厳しい載荷条件として局所応力が生じる輪荷重走行位置による疲労耐久性の検討を行い,合成効果,疲労寿命,損傷・破壊挙動を確認した.また,溶接部における疲労亀裂の発生及び、進展の寿命予測を行った.一方,HPFRCCにより増厚されたRC床板についての温度荷重,交通荷重,水の存在による負荷状態の基本的検討として,既設RC床板の疲労寿命に対する凍害劣化と鉄筋付着の影響について検討をおこなった.
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