| 研究概要 |
本研究では、様々な条件の不確定性を考慮した上で、非線形系の入力地震動を合理的に表現するための考え方として、時間周波数特性の考え方を明示的に取り入れた方法を提示することを目的とし,入力地震動を合成する手法の開発する.
今年度は,地震動の特性を規定する特徴指標の有効性の検証のための手法として,その地震動で設計された構造系が損傷する確率が,想定された値を上回らない確率という概念を導入した.そのうえで,それを検証するために,相互情報量を用いた定量化手法を提案した.入力波や構造パラメタ等のばらつきを想定した数値シミュレーションにより,提案手法が,従来から広く用いられている相関係数等よりも有効な指標であることを示した.
また,複数の地震動を考慮する場合の,設計地震動としての有用性を効率的に定量化する指標としての情報エントロピーの有用性を検証するため,仮想的な設計条件の下で,設計地震動の集合の設定と安全性の算定,およびその設計地震動の集合が有する情報量の算出を行い,設計の安全性と情報量の関係を検証した結果,設計地震動の集合が有する情報量と設計の安全性には相関性があることを示した.また,情報量の増加と安全性の向上の相関性も示され,設計地震動として考慮すべき地震動の選定における情報エントロピーの有効性が検証された.
さらに,上記の考え方に基づく,設計地震動の加工手法として,ウェーブレット変換の有用性の比較検討も行い,直交性を有する複素関数ウェーブレットを用いることで効率的な波形合成が可能となることを示した.
|
