研究概要 |
本年度は,分岐器介在ロングレールの軸力測定法の理論的検討を実施した.その結果得られた成果は以下のとおりである. 1軸力を受ける分岐器介在ロングレールの解析モデルの構築 分岐部を含む軌道系の振動解析を対象とした数値モデルを構築した.まず無減衰仮定下にある理想的な軌道モデルを対象に,無限軌道の共振応答特性について調べた.そのために,軌道系を,分岐器を含む非周期部と,その前後の直線レールで与えられる半無限周期部とに分離し,前者を直接離散化し,後者はそれと等価なインピーダンス行列により表現した. また,現実の軌道は減衰を伴う.そこで次に,減衰の存在が共振特性に及ぼす影響についても検討する目的で,減衰存在下での解析モデルも構築した.なお,この場合は,軌道打切り端からの反射波の影響を抑制することができるので,インピーダンス行列は用いず,十分に長い有限軌道モデルを採用した. なお,分岐器前後の軸力分布は,温度変化による軌道変位解析の結果より求めた値を設定した. 2加振応答解析に基づく軸力測定法の適用可能性の検討 構築した解析モデルを用い,加振による共振周波数と軸力との関係を調べた.その結果,共振周波数と軸力とには明確な関係が認められたが,直線レールのそれとは異なることがわかった.一方,共振周波数とレールの相対温度との関係に変換すると,直線レールとほぼ一致する関係を得た.このことから,分岐器介在レールの動特性については,その前後の直線軌道の共振特性が支配的であることがわかった. また,減衰導入下での加振応答解析より,減衰の存在が共振周波数に及ぼす影響について検討した.その結果,現実に存在する減衰の下では,それによる共振周波数のずれは僅かであり,測定精度に実質影響しないことが確認できた.
|