研究概要 |
大気環境モデル(たとえばWRF V3において,飛来塩分に対するパラメータの妥当性を現地観測データを元に検討する.そして,局所解析に用いるための数値解析法の要素技術の検討を行った.加えて,検証のための現地観測データを取得した.以下にその概要を述べる. 1.現地観測データの取得 福井県坂井市内の三国大橋において腐食環境調査を行った.そしてPHSとIP網を利用したテレメータリングシステムにより常時データの収集を行った. 2.大域環境モデルによる飛来塩分量解析のためのパラメータ解析 飛来塩分の供給は主として海洋である.代表的なメソスケールの気象解析プログラムのWRFのChemパッケージを用いてその適用性を検討した.比較データとしては1985年に旧建設省土木研究所が実施した全国飛来塩分量調査を用い,日本全国の各地域,季節においてWRF/Chemがどの程度推定できるのかがわかった. 3.数値流体解析による汚染物質の付着挙動,洗い流し挙動等の解析 数値流体解析が対象とするのは,鋼橋近傍での空気の流れと飛来する汚染物質の付着挙動である.まず,飛来汚染物質の付着挙動については汚染物質量を濃度として状態変数として扱うオイラー流ではなく,固相の微小粒子の運動を追跡するラグランジュ流のアプローチをとり,飛来塩分粒子の桁面への付着の様子を予測した.そしてこの結果を実測値と比較した.きわめて簡単なモデル計算ではあるが,実測値との比較により部位による付着の相対量については良く予想できることがあきらかになった.
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