研究概要 |
本研究は,竜巻による建造物の被害が増加傾向にあることを鑑み,様々な条件下で生成される竜巻状旋回上昇流の室内実験が容易に行える装置を実現すること,竜巻状旋回上昇流の中心付近の流れの特性を把握し,耐風設計にフィードバックすることを目的としている.本年度に得られた成果を以下に示す. 前年度の段階で,サーボモーターによって±60度の範囲で独立に角度を調整可能な48枚の可動翼が取り付けられていたが,本年度は翼の角度の範囲を±180度に拡大し,流入角を制限なく設定できるように装置に改良を加えた.さらに,装置の流入量に分布を与えることができるように流入部分に48個のDCモーター駆動のダクテットファンを設置し,個別にモーターの回転数を設定できる機構を追加し,流入・流出量を自由に変更できるようにした.この改良の結果,前年度の段階では想定する渦中心に対する実際に生成された渦の中心位置に大きなずれが生じていたが,流入・流出量について適当な分布を与えることによって生成される渦の中心が移動することがわかり,流入境界条件によって生成される渦の特性を制御できる可能性が高まった. 一方で,LESを使った数値流体解析による竜巻シミュレーター内部の流れの解析も実施し,竜巻状流れが数値流体解析的も生成できることを確認した.PIVで計測した流速分布と数値流体解析結果との比較の結果,PIVで計測した流速分布が誤差の影響を大きく受けている可能性が認められ,流速計測の精度改善が必要である.
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