研究課題/領域番号 |
21560503
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
野田 稔 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (30283972)
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研究分担者 |
長尾 文明 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40172506)
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キーワード | 竜巻状流れ / マルチベーン / マルチファン / 竜巻シミュレータ / LES / 風災害 |
研究概要 |
本研究課題は、深刻な被害をもたらす竜巻への対策が急がれていることを鑑みて、流入条件、流出条件を操作可能な竜巻シミュレータを開発し、(1)竜巻状旋回上昇流中心付近の流速分布や圧力分布などの流れ場の基本的な情報を耐風設計基準見直しの検討材料として提供すること、(2)竜巻状旋回上昇流の性状を流出・流入境界で制御する方法を検討し、竜巻状旋回上昇流を用いた風洞試験技術を発展させること、(3)竜巻状旋回上昇流の数値流体解析による再現手法を確立することの3つを研究目的としている。本年度に得られた成果を以下に示す。 マルチファン化した竜巻シミュレータは、収束層の流入部にファンを設置することで流れを押し込む構造であるため、従来の対流層上部に設置した1基のファンで流れを吸い出す形式に比べると収束層部分の圧力が高くなる。これが装置外部からのシーディング材の導入を阻害し、結果としてPIVによる流速場の計測が困難となることがわかった。この問題を解決するためには加圧式のシーディング装置を導入しなければならない。 一方、LESを使った数値流体解析によって竜巻シミュレータ内部の流れ場の解析を重点的に行い、装置内部に生じる旋回上昇流の有するスワール比が流入境界を決定する際に想定したスワール比に比べてかなり小さな値となっていることが明らかとなった。収束層部分の流れを詳細に検討した結果、ガードベーンにおいて流れの剥離が起き、流入角がガイドベーンの角度よりも小さくなっているためであることが明らかになった。従って、竜巻シミュレータにおける流れの制御を高度化するためには、ガイドベーンにおける流れの剥離を抑え、ガイドベーンの角度と流れの流入角が1:1で対応するように装置を改善することが必要である。
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