本研究は、物理的現象に基づいた塩害劣化を受けるコンクリート構造物の実用的な劣化予測システムを構築するのである。本研究では、コンクリート構造物の耐荷力をモデル化するもので、ひび割れ幅があるしきい値を超えると補修限界になるという現状の指標に対して耐荷力を評価する指標にモデル化することである。 本年度は、塩害劣化を起こすための試験体を作製し、塩害促進試験装置に設置し、腐食ひび割れ幅を測定している。作製された試験体の実験因子は、大きく分けて2つあり、腐食ひび割れ幅を変化させたことと鉄筋の継ぎ手部が腐食した場合である。腐食ひび割れ幅は、一般に言われている補修ひび割れ幅0.4mmよりも大きな腐食ひび割れ幅1.0~2.0mmを想定している。また、今まで行った試験体を使って、ひび割れ発生前の腐食速度式を作製した。腐食速度式は、コンクリート中の温度、鉄筋近傍の塩化物イオン濃度、コンクリートの品質、本項目は直接測ることはできないのでコンクリートの拡散係数を代替項目とした。さらに、ひび割れ発生モデルを剥離モデル(かぶりが小さい場合)、鉄筋に沿ったひび割れモデル(かぶりがある程度ある場合)および水平ひび割れ(鉄筋間隔が狭い場合)の3つのひび割れモデルにより作製し、既往の実験結果と比較を行い妥当な成果が得られた。
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