研究概要 |
本研究の目的は低価格で,外部からの電源を必要としない橋梁のモニタリングシステムを構築することである.背景としては,橋梁の劣化が問題となっていること,予算制約の大きい地方公共団体が多いこと,高性能なマイクロコンピュータや通信モジュールが入手しやすくなっていること,および低炭素社会といった環境への配慮が重要となっていることがあげられる.待ち受け時間の長い事象(地震など)のためのデータ収録システムの構築を目指したものである. 平成21年度の予定として,2点を行う予定であった.第一はデータロガーの設計および作成である.データロガーの仕様,回路構成を考えることであるが,省電力のマイクロコンピュータで,2チャンネルの入力が可能なものを選択した.第二は,データロガーを作成し動作確認を行うことである.小型の試験体で屋内および屋外で動作確認を行う予定であったが,動作の確認を行うことができた.また,当初の予定とは異なるが,圧電素子の発電特性に関しても実験を行うことができた.圧電素子は,PVDFフィルムのほうがセラミックスよりも発電効率がよいことを調査し,フィルムを用いることとした.試験体にフィルムを接着し,試験体に生じるひずみをパラメータとして,生じる電圧と電流を測定した,フィルム1枚では,3ボルトの電圧と100マイクロアンペアの電流が得られたが,フィルムを並列に接続したほうが電力を得られやすいことがわかった.また,データロガーの待ち受け時電力はナノワットなので,待ち受け時のフィルムによる電力供給は可能であることが示された.
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