研究概要 |
津波に対して有効な桁断面形状を検討するために,長方形断面,台形断面,逆台形断面および長方形断面の中央部を空けた穴あけ断面の橋桁模型を作成して実験を行った.その結果,台形断面は水平方向の津波の外力に対して,約20%~40%程度小さくなることがわかった.また穴あけ断面以外の断面では津波が作用すると,津波作用後0.3秒あたりで上向きまたは下向きの津波による外力が顕著に現れるが,穴あけ断面では,鉛直方向の津波の外力は他の断面に対して小さくなり,穴あけ断面では鉛直方向の津波の外力に対して有効な断面であることがわかった.また試作の圧力計を用いて長方形断面に作用する圧力を計測した.これによって,津波が作用すると,模型の下面上流側の圧力は模型上流部で生じる剥離により負圧が作用し,この負圧によって模型に下向きの外力が作用することがわかった.同時に模型下面下流側では剥離した流れが模型に再付着することで正圧になり,模型下面上流側に作用する負圧と下流側に作用する正圧により,模型が反時計回りの流力モーメントが作用することもわかった. 数値解析では解析ソフトMARKを用いて橋梁に作用する応力を検討した.その結果,支点部に大きな応力が作用することが判明した.さらに粒子法を用いて実験の3次元シミュレーションを試みた.粒子の大きさが粗かったが,3次元の流れを再現することができた.これにより,粒子の大きさを小さくすることができれば,橋脚を設置した場合などの流れをシミュレーションすることが可能であるとされた.
|