研究概要 |
本研究は鋼およびコンクリートを材料とした橋梁システムについて、CO_2排出量等のデータをパラメータとして抱絡分析法(以下,DEAと称す)による効率性ならびに改善案の解析を行い、各パラメータの影響を定量的に求めることにより、この種の問題に対するDEAの適用性、環境負荷低減を目指した橋梁構造物のあり方等に関する基礎的な検討を試みた。 解析結果からは、DEAでは効率性の比較が容易に可能であることから、環境負荷への影響度が非常に理解し易い形で表現できることが判明した。よって、このような問題に対するDBAの適用性、有効性はきわめて高いものと判断される。具体的には、各橋梁システムのエネルギー消費量等のデータそのものを比較する限りにおいては、優劣が付け難い環境負荷への影響度が、DEAを用いることによって効率性の優劣や、これを向上させるためにはどのパラメータをどれだけ改善すれば良いかが数値で示すことが可能である。また、例えば環境に対して非常に不利と思われる鋼橋においても、材料としての特徴であるリサイクル性等をパラメータとして考慮することにより、環境負荷が改善される可能性を有することが理解できる結果が得られた。さらに、前述の通り具体的な改善案が明確な数値目標が算出されるため、温室効果ガス排出削減の実現に向けての有効な指標になり得るものと期待できる。 したがって、本研究の手法を用いて、LCC等も含めた形で各種パラメータを設定し、橋梁のライフサイクル全体を考慮した解析を行うことにより、環境負荷を低減させる新たな橋梁システムの検討あるいは提案に活用できる可能性を有するものと考えられる。
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