研究概要 |
昨年に引き続き,振動場における粗粒材料の挙動を体積変化や強度低下などのマスとしての力学挙動ではなく,土粒子間の接触状況の変化から捉えることを目的に,振動場における粗粒材料の粒子間の接触状況の変化とそれに及ぼす振動条件(振動数,振幅等),粒子条件(粒径,詰まり具合等)の影響について室内実験により検討を行った。昨年度までに,粒子の接触状況に及ぼす粒径と加速度との関係,加速度一定の条件下で振幅と振動数の組み合わせを変えた場合の粒子の接触状況の変化について考察を行っていたが,本年度は,これらの成果を実験でより詳細に確認し,それらをまとめて論文集に投稿し,掲載された. また,昨年度までの実験は,乾燥状態のコークス粒子に対して行っていたが,昨年3月に発生した東日本大震災で砂地盤の液状化被害が大規模に発生したことを受け,この実験方法を飽和したコークス粒子に試験的に適用し,計測可能性を調べた.一般に水は高い導電性を有するため,その存在がコークス粒子の電気抵抗変化の計測結果に悪影響を与えることを懸念して,これまで乾燥状態のコークスに対してのみ実験を行ってきたが,今回,試行的に水で飽和させたコークス粒子の供試体に対して,振動に伴う電気抵抗変化を計測した.その結果,コークス粒子の電気抵抗は水よりも遙かにに小さいため,コークス粒状体の接触状態の変化による電気抵抗変化の計測結果に水の存在はほとんど影響を及ぼさないこと,ならびに粒子が水に浮遊する状態が起こりやすいため,乾燥状態に比べ,粒子同士の接触が離れている状態が長く継続することが明らかになった.この結果は,砂地盤の液状化現象のより詳細な分析に利用できるものであり,継続して研究を行うべく次年度の科学研究費補助金に改めて申請を行った.
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