研究概要 |
土木工事において排出された建設発生土を適正に処理するためには,土質安定材(固化材)が必要不可欠である.しかしながら,その価格は年々増加傾向にあり,建設事業の経営を圧迫してきている.また近年においては,廃棄物処理法の改正(1992)に伴い,廃棄物の減量化・リサイクルの推進が強く求められている.そこで申請者は,既存の工業用消石灰に,一連の工程を経て処理された廃石膏と浄水汚泥(乾燥状態)を所定の比率で添加し,新たに廃棄物由来の固化材を製造した.本年度は本固化材による土の強度発現特性を把握するために,一連の室内試験を行った. 本年度実施した室内試験の結果から,次のような知見を得た. (1)本固化材は細粒土に適しているものの,粗粒土であっても締固め度を適度に高くすることによって所定の強度を確保することができる. (2)実験に用いた供試体中には,太田土(粗粒土)と深草土(細粒土)ともに針状のエトリンガイトが形成され,土粒子をロッキングしている様子が確認できた. (3)石灰安定処理土のE_<50>-q_u関係は,締固め度の高低に大きく影響し,かつ締固め度C_d=100%の場合のみ,処理対象土の物性の違いによる影響が見られる.
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