研究概要 |
本研究の目的は,道路盛土の崩壊・段差・沈下等が原因となって生じる全面通行止めや通行規制による道路ネットワークの機能麻痺で被災地の復旧・復興が困難になっている状況を考慮し,車両の走行性を確保することを道路性能の第一義として考えた道路盛土の補強を行う対策工に焦点をあてて研究する。盛土の崩壊については,車両の走行性を基準に,片側通行や減速走行が可能な場合は道路性能が維持されていると考え,地震時に道路盛土の崩壊や変形が発生しても車両走行性が保たれる程度に制御可能な耐震補強対策について検討し,課題解決を図る。本研究では,従来のような道路盛土の破壊を防止する耐震対策ではなく,部分的な崩壊や段差や沈下などの変形を許容しながらも走行性と道路ネットワークを維持できる耐震対策の検討を目的とする。 平成22年度の実績としては,模型盛土をコンクリート壁に衝突させる衝撃荷重載荷実験により,動的破壊時に発生するすべり面の形状に及ぼす表面工の影響について検討を行った。その結果,表面工の剛性や形状により,すべり面の大きさ,発生形状および模型盛土の法尻水平変位量に変化が生じ,表面工による差がみられた。また,各表面工の補強効果を定量的に評価するため,NEXCO(旧日本道路公団)等で用いられているのり面工低減係数を模型斜面崩壊実験から求めた。以上の結果から,部分補強盛土のり面の安定性に及ぼす表面工の影響が確認できるとともに,その効果を定量的に評価することができた。本研究で提案している鋼製枠組み工はコンクリート擁壁と同じ補強効果を発揮することができた。
|