研究課題
本年度の主な検討項目と成果を以下に示す。1 流量推定手法への不確実性評価手法の導入モデリングにおける不確実性をより定量的に示すために、キャリブレーション手法としてGLUEを導入した。90%信頼区間で推定された流量は、実測の日流量と良く適合していた。また、河川水面幅の計算結果と流量推定精度の相関性の検証も行われ、その結果から、水面幅と流量の間に相関性を仮定していることが流量推定に及ぼす影響は小さいことが明らかとなった。2 レーダー高度計データの利用レーダー高度計であるTOPEX/POSEIDON(以下、T/P)の観測値を用いたキャリプレーション手法について、ミシシッピ河上流クリントン地点でのケーススタディーにより検討を行った。このキャリブレーション手法の有効性について、モデルの入力に対する状態変数や出力値の挙動、流量推定の精度、モデルパラメータの分布などをもとに検討した結果、流量変動の大きさの再現性については主として水文モデルの構造に起因することが明らかとなった。また、実測流量でキャリブレーションを行った場合と、衛星観測水位情報でキャリブレーションを行った場合での推定流量の不確実性を比較した結果、本手法は未計測流域においては非常に有効な手法であるが、実測流量を用いたキャリプレーションと同等というところまでの精度は得られないことが示された。その一方で、衛星観測が流量変動をとらえるのに十分な頻度で得られていれば、不確実性の大きい観測データを除去することで、キャリブレーションの結果として得られるパラメーターセットの中から不適当なものを排除することが可能となり、結果として推定流量の不確実性を軽減する効果を生むことが確認された。
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Annual Journal of Hydraulic Engineering, JSCE
巻: 55 ページ: 13-8
Hydrol. Earth Syst. Sci.
巻: 14 ページ: 2011-2022