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2010 年度 実績報告書

経験度による推定可否判断を付した水域メガリスク解析

研究課題

研究課題/領域番号 21560538
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

北野 利一  名古屋工業大学, 工学研究科, 准教授 (00284307)

研究分担者 高橋 倫也  神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80030047)
キーワード再現期間 / 点過程モデル / 極値統計解析 / 気候変動 / 南方振動指数 / 高潮・高波・洪水 / 自然災害 / 経験度
研究概要

気候変動に伴う潮位や高波の極大値について,経年のトレンドに加え,SOI(南方振動指数)やAOI(北極振動指数)のような気象指数を共変量とした極値統計モデルに基づいた解析法の提案である.1)我々の研究で提案する「経験度」を用いることにより,共変量が外れることで,特異な条件が統計モデルを歪ませるような問題が生じていないか,感度分析ができることが新たにわかった.また,年最大値や極大値は本質的にデータ数が少ないため,経年のトレンドの検出は難しいという宿命がある.共変量を伴う極値モデルに対しては,経験度(の逆数)は,共変量のてこ比と,極値の確率変動(純粋な経験度の逆数)に分解される(これら2項の和で表される).このことを利用すれば,トレンドが検出されにくい場合も,時間の経過とともに,信頼区間の幅が増えて,検出されないトレンドを代用した推定結果を得ることが可能となる.このことを言葉を変えて言えば,「データの鮮度」が低下することに伴う回折効果として表される.2)従来法では,再現レベルに対して,対称な信頼区間として与えられていたが,本研究では,発生強度を陰リンク関数とするプラグイン推定を行い,上方に長く,下方に短い非対称な信頼区間を作成することができる.このような非対称性は,従来の応用統計学分野では,プロファイル尤度を用いた信頼区間を作成することにより,実現できる場合もあるが,最適化の計算が必ずしも成功するとは限らず,一度に信頼区間を多量に必要とする場合(信頼区間の経年変化など)には,現実的な計算に不利であるのに対し,我々の提案する「経験度」を用いたプラグイン推定では容易に計算可能である.3)モデルの適合性に経験度を用いて,「窓枠」を設けることにより,確率モデルで扱える領域と,もはや確率モデルでは扱えない領域(そのような巨大外力に対しては,特別な対策を講じる必要がある)に分けられることを示した.後者の領域は「想定外も想定する」議論に密接に関係し,災害の原因となる来襲外力の対策について,今後の検討を要する.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 極値統計解析における陰リンク関数の導入と推定誤差における回折効果2011

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 雑誌名

      統計数理研究所共同研究リポート

      巻: Vol.261 ページ: 50-64

  • [雑誌論文] 確率降雨量の統計解析におけるモデル適合性の限界2011

    • 著者名/発表者名
      北野利一, 高橋倫也, 田中茂信
    • 雑誌名

      水工学論文集

      巻: 55 ページ: S-27(1-6)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 気象指数を共変量とする水域外力の極値モデルに対する外れ値の感度分析2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一, 喜岡渉, 高橋倫也
    • 雑誌名

      海岸工学論文集

      巻: 第57巻 ページ: 141-145

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 伊勢湾台風来襲から50年目の節目に2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 雑誌名

      ほだ沖(名古屋港管理組合建設技術協会)

      巻: 42 ページ: 4-9

  • [雑誌論文] Trend Model of Sea Extremes2010

    • 著者名/発表者名
      Kitano,T., W.Kioka, R.Takahashi
    • 雑誌名

      Coastal Engineering 2011

      巻: 32 ページ: manag.1(1-13)

  • [学会発表] 確率降雨量の統計解析におけるモデル適合性の限界2011

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      土木学会水工学講演会
    • 発表場所
      東京大学生産研究所
    • 年月日
      2011-03-10
  • [学会発表] 来襲高波の確率波高に対する推定誤差の経年的な変化2011

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      土木学会中部支部(リサーチグループ成果報告会)
    • 発表場所
      中部大学
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] 高波の継続時間と衰退時間の確率分布2011

    • 著者名/発表者名
      近藤弘樹, 北野利一, 他
    • 学会等名
      土木学会中部支部(平成22年度研究発表会)
    • 発表場所
      中部大学
    • 年月日
      2011-03-04
  • [学会発表] "implicit"link関数とplug-in推定2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      統計数理研究所研究集会 極値工学への応用
    • 発表場所
      統計数理研究所
    • 年月日
      2010-12-04
  • [学会発表] 気象指数を共変量とする水域外力の極値モデルに対する外れ値の感度分析2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      土木学会海岸工学講演会
    • 発表場所
      京都市テルサホール
    • 年月日
      2010-11-11
  • [学会発表] 水の環境史とグローバルヒストリー/コメント:海岸水理学の技術者の視点から2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      印本女子大学 文学部文学 研究科
    • 発表場所
      日本女子大学 新泉山館
    • 年月日
      2010-10-09
  • [学会発表] 経験度を用いた再現レベルの信頼区間の算出法2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      信頼性設計技術WS+最適設計研究会
    • 発表場所
      つくば研究支援センター
    • 年月日
      2010-08-06
  • [学会発表] メガリスクの生起確率に対する鍵は?2010

    • 著者名/発表者名
      北野利一
    • 学会等名
      関西CE会
    • 発表場所
      大阪電気倶楽部
    • 年月日
      2010-07-10
  • [学会発表] Trend Model of Sea Extremes2010

    • 著者名/発表者名
      Toshikazu Kitano
    • 学会等名
      American Soc.of Civil Engineers
    • 発表場所
      Shanghai, China
    • 年月日
      2010-07-05
  • [備考] 一般向けの研究紹介をする中で,研究最前線の事柄も少し紹介する機会ととらえ,和歌山県立新宮高校(7/9)にて,「災害に強いまちづくり」と題して,水域災害をもたらす外力の力学的特性を紹介するとともに,それらの外力の来襲頻度の特性を把握する上で,「経験度」という新たな指標が重要な役割を果たすことを紹介した.また,名古屋市立緑高校(7/13)および名古屋市立熱田高校(2/14)においても,同様の内容について紹介を行った

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公開日: 2012-07-19  

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