研究概要 |
現地観測については,2010年12月12日に諌早湾内のROFI(淡水影響域)構造の評価に関する観測を実施した.多項目水質計で海洋構造(塩分,水温の鉛直分布)について,レーザー回折式粒度分布測定機器(LISST-100X)にて海水中の浮遊懸濁物(SS)について粒度分布の鉛直分布を測定した.これにより,河川水起源の濁質の特性を把握することができた.一方,2010年5月(観測日:5/8,5/9),8月(8/30),ならびに10月(10/15)にアドリア海北部のトリエステ湾において,国際河川ソサ川から流入する河川水がつくるROFI構造について,多項目水質計による海洋構造観測を実施した.両観測結果の比較より,潮汐条件が大きく異なる両海域において河川水の挙動の特性を抽出することができた.これらの観測結果は,数値シミュレーションの精度検証や,モデルパラメータのチューニングに使用できると期待される 次に,数値シミュレーションについては,3次元の静水圧近似流動モデルに,鉛直方向σ座標系,水平乱流拡散の評価にSub-Gridモデル,鉛直乱流拡散の評価に浮力効果を含むk-ε乱流モデル,干潟モデル(干出・水没モデル),粘着性/非粘着性土砂輸送モデルを組み合わせたモデルを使用して,河川起源の淡水の挙動を再現する流動シミュレーションを行った.その結果,2006年に実施された筑後川の出水時における淡水の挙動について現地観測から得られた挙動を概ね再現することに成功した
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