研究概要 |
海浜の地形や底質特性の変化に関する研究は,外洋に面した高波浪の影響下の開放性の海浜を対象としていることが多い.一方,内湾などの閉鎖性の海域に面した海浜は,吹送距離等が制限され波エネルギーも小さく静穏性が高く'low-energy-beach'と称されており(以後,LEB),このような砂浜では養浜による人工海浜が創造されることが多い。このような砂浜での1年間の現地調査の結果、潮汐の影響が重要であり、春から秋にかけての平均潮位の上昇に伴い、海浜が堆積する方向に向かい、その後は安定した形状であるが冬季風浪により侵食され元の形状に戻る傾向がLEBの人工海浜においても確認され、Bruleにより提案された地形変化量と潮位変化の関係がLEBの人工海浜でも成立している。また、堆積部には粗粒子と細粒子が層状に堆積しており、また、1~2潮汐の短期間の時間変動に関しても、上げ潮時と下げ潮時では移動する漂砂量や底質特性が異なる。この点に関しては、遡上域での底質移動の連続画像計測においても同様な結果を得た。x線CTを用いた破壊状態での底質特性の分析により、湿潤密度の時空間的変動特性を評価し、通常0.4程度で見積もられている空隙率が0.3~0.6程度の幅を有すること実験により求めた。従来の海浜変形モデルにおいて漂砂量の算定には考慮されなかった結果であり、数値モデルの精度の向上には不可欠である。また、潮位変化を数値モデルに取り込むためには、地盤高さを潮位上昇速度に合わせて変化させる方法と移動限界水深を潮位上昇量に応じて変化させる方法で対応が可能である。
|