研究概要 |
(A) 植生基盤における洗掘現象の解明とその防止策に関する研究においては,以下の室内実験と現地観測を実施した. a) 2次元造波水槽内の模型海浜砂層上に,ヨシ等の抽水植生やアマモ等の沈水植物をモデル化した円柱群や人工海藻を設置し,植生基盤内の洗掘特性と海浜地形変化に及ぼす植生群の影響を調べた.植生群設置区間では海底地形が低下すること、および植生群設置区間の岸側部では海底砂は岸方向に移動・堆積することを明らかにした. b) 平成22年度の中海での現地観測を6回(5月,8月,11月,1月,3月)実施した.平成22年5月に,中海の大橋川河口で採取したコアマモを現地土壌を含ませた麻マットに移植し,島根大学中海分室の野外水槽内の稲苗育成箱内に設置し育成を行なった.8月下旬に,このコアマモ育成用麻マットを、中海の葭津海岸と下意東の白鳥海岸に移植した.11月25日の白鳥海岸での観察ではその生育が確認された.平成23年4月27日の白鳥海岸での観察ではその生育は不明であった. c) 平成22年8月30日の観測では、白鳥海岸に長期記録用の波高計、流速計、水質計、砂面計を設置した。 11月,1月,3月の観測では,データー取得と機器調整を行なった.平成23年1月24日には,流れと波の水粒子速度の合成値の最大値として33cm/sが記録された. d) 波の静穏な海域に置かれた生け簀内に,土砂を入れた小型容器を吊り下げアマモとコアマモの育成実験を継続して行なった.夏期の水温上昇により植生の安定した育成は困難であった. e) 植生の茎葉による浮遊土砂補足現象,発達した根茎による土壌緊縛作用,茎部や葉部の流れや波に対する揺動や渦励振動現象等の現地観測を行い調べた.現地海岸における土壌基盤の洗掘状況や浮遊土砂の観測には,昨年度購入した堆積・侵食測定器を使用した. (B) ホトトギス貝による砂泥表層の硬化安定作用に関する研究においては,以下の室内実験と現地観測を実施した a) 二枚貝(ホトトギス貝)の「足糸」による砂泥表層の硬化安定作用を検証する現地観察を試みた.ホトトギス貝の成育個体数が少ないため,「足糸」による砂泥表層の硬化安定作用の確認は困難であった. b) ホトトギス貝も模擬した人工固形物を砂面に設置し,その洗掘防止効果と植生の生育に対する影響を調べた.
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