研究概要 |
既存の多くの物流モデルは,物流施設立地を与件としており,交通施設整備に伴う物流施設立地の変化と,それに伴う物流の変化を考慮することができていなかった.そこで本研究では,交通施設整備に伴う物流施設立地のモデル化を行い,交通施設整備が物流・貨物車交通・環境に与える影響を定量的に評価する.特に,物流施設の立地に大きな影響を与える高速道路の建設の効果を,定量的に把握することを目的とする. 本年度は昨年度に引き続き,企業の立地特性の把握と立地モデルの構築を試みた.まず,荷送人,荷受人,輸送会社の立地特性を把握するために,既存の関係する各種調査報書,研究発表論文を整理した.また,東京都市圏物資流動調査のデータや,国土交通省関東地方整備局大宮国道事務所が実施した圏央道沿線事業所立地・物資流動調査を使用し,業種,企業規模,立地場所の特徴を因子分析や共分散構造分析を用いて明らかにした. また,近年物流施設の立地が進んでいる,圏央道(首都圏中央連絡自動車道)沿道の事業所に対して,事業所属性(業種,品目,従業員数,敷地面積,倉庫面積等),物流実績(物流量,物流費等),立地要因に関するアンケート調査を実施し,これらのデータを用いて立地選択モデルを構築した. また,これらの作業と平行して,ミックスロジットモデルをベースとした2段階(第1段階:新たな場所に立地するか,それとも現在地に留まるかを決定する選択モデル,第2段階:新たな立地場所を選択するモデル)立地選択モデルのブラッシュアップをはかった.
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